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【図解・法律解説】「警察が現行犯逮捕!捕まったらどうなるの?」逮捕から刑罰まで

 皆さんは、前科や書類送検、さらには逮捕について知っていますか?よく聞く言葉ではあるけれど、書類送検と逮捕って何が違うの?現行犯って何?と思う方は多いと思います。今回は、これらについて詳しくみていきます。

 こんにちは、ミノです。皆さんは、なんらかの罪で逮捕されたことがありますか?

 近年、防犯カメラやスマートフォンの普及により、犯罪の抑止効果が高まっているためか、犯罪の件数は減少傾向にあります。実際、10月16日に公開された、令和2年1月から9月までの犯罪統計(警察庁「犯罪統計」https://www.npa.go.jp/publications/statistics/sousa/statistics.html)からも、平成28年から令和2年までの5年間に、犯罪数が減っていることが見て取れると思います。

しかし、ニュース番組を見ると、連日、何らかの罪状で捕まる人が報道されていると思います。そこで今回は、逮捕や刑罰について、みていきたいと思います。

犯罪の発覚(捜査の端緒)…現行犯や告訴、自首など。捜査の対象へ続く

逮捕がなされるためにはまず、犯罪事実が発覚する必要があります。何かの犯罪が行われた可能性があって初めて警察は捜査をするわけです。

犯罪が発覚するきっかけを、刑事訴訟法上、捜査の端緒と言います。刑事訴訟法に規定されているものとしては、現行犯、告訴、自首などがありますが、現実には目撃者の通報や検問などの割合が高いそうです。

犯罪の疑いがあがると、その者は被疑者として、捜査の対象となります。報道でよく耳にする「容疑者」は、報道の段階で「被疑者」と「被害者」の聞き間違いを防ぐために生み出された表現で、実際の犯罪捜査の現場では「被疑者」が正しい言い方となっているようです。

犯罪の捜査…協力を仰いで捜査する。

 捜査の端緒により、「犯罪事実がありそう」となった場合、警察による捜査が始まります。

しかしこの段階では、まだ犯罪を犯した疑いがある程度であるため、捜査をする際は被疑者に協力を仰ぐ形になります。疑いがそれほど強い訳ではないため、被疑者の人権の保護が重視されるためです。そのため、刑事訴訟法197条1項により、勝手に家の中に入り込んだり、無理やり物を取り上げたりすることは許されません。

もっとも、捜索差押令状などの令状を裁判所から発布してもらうことで、強制的な処分が許され、ある程度無理やり捜査を行うことができます。

また、現行犯の場合には、その場での捜査はもちろんのこと、逮捕をすることもできます。まさに犯罪が行われたわけであるため、被疑者が罪を犯したことは明白であり、被疑者の人権をある程度無視しても構わないということです。

逮捕(身柄拘束)と書類送検…捜査の形態により変わる。

 捜査の結果、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると判断された場合、警察官による逮捕が行われます。

ここに言う逮捕とは、短時間の身柄拘束のことを言い、警察署での取り調べで、本当に犯罪を行ったかどうかや犯行の経緯など、事件の詳細について聞き出します。

被疑者が自供した場合など、取り調べの結果さらに捜査をする必要があると判断された場合、検察官へ事件の資料等の送致が行われます。この時被疑者の身柄も同時に引き渡す場合もあれば、被疑者が罪を認めていて身柄の引き渡しまでは必要ないと判断される場合もあります。この場合、事件の資料だけを検察官に送ることになるため、一般には書類送検と呼ばれています。

検察庁への送致がなされると、そこでも検察官による取り調べが行われ、裁判を始めるか、さらなる捜査のため被疑者をとどめ置くかの選択をすることになります。この、さらなるとどめ置きを「勾留」と呼び、最長10日間とどめ置くことができ、その間に裁判を始めるための証拠をそろえることになります。

公訴・刑の執行…被疑者は被告人へ。有罪なら刑罰が科される

刑事事件における裁判を公訴とよびます。公訴が提起されると、被疑者は「被告人」となり、裁判にかけられていくことになります。裁判で有罪が確定すると、刑罰が科せられるわけです。

刑罰は、刑法9条以降に規定があり、死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料、そして没収という種類があります。

死刑はご存知だと思いますが、懲役と禁錮は、刑務所に入る点では同じですが、懲役が何らかの作業を強いられ、禁錮がそうではない点で異なります。また、懲役と禁錮が無期、つまり期間を定めずに刑務所に入れることができるのに対し、拘留は有期で、1か月以内の期間を定めなければなりません。そして、罰金の下限が1万円であるのに対し、科料は1000円以上1万円未満の間でなければならないと定められています。

これらの刑を言い渡されると、「前科」が付くことになりますが、似たようなものである「前歴」は、被疑者として捜査の対象となった段階でつきます。

まとめ & スズトリYouTube版

今回は、逮捕や刑罰について見てきました。普段報道番組などで耳にする単語ですが、正確な意味を知らないと言う方は多いと思います。この動画を通して、普段見ているニュースをさらに理解できるようになってくれれば幸いです。

参照
刑事事件弁護士ナビ 被疑者とは|容疑者や被告人との違いと被疑者になったらできること
https://keiji-pro.com/columns/331/#toc_anchor-1-1
いいねを押したい弁護士ブログ 捜査の端緒
https://avance-media.com/keiji/12985941/
スッキリ 知っておきたい「懲役」「禁固」「拘留」の違い
https://gimon-sukkiri.jp/jail-time-imprisonment-detention/
アディーレ法律事務所 前科と前歴の違いについて
https://www.adire-bengo.jp/basics/zenka.html