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【憲法図解#04】衆議院と参議院|人数と任期・衆議院の優越・中心立法の原則【わかりやすく】

こんにちは、ミノです。今回は、衆議院と参議院についてみていきたいと思います。


国会中心立法の原則

国会は、国民が選挙を通して選んだ代表者で構成され、立法を担当します。このことは、憲法41条に規定されています。

「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である」という規定です。選挙により選ばれた国民の代表者により構成されているため、「最高機関」として国政の中心的な位置を占めることになります。

また、「唯一の」立法機関であるため、国会だけが法律を作ることを許されています。これを、国会中心立法の原則と言います。国民から選ばれた議員で構成され、間接的に国民の意思が反映しているからこそ、立法機関として国民の権利を制約する立法をすることが可能になるわけです。

似たような単語として、「国会単独立法の原則」がありますが、これは立法を行う際、国会以外の機関の参与を必要としないことを内容とする原則です。要するに、国会中心立法の原則は、立法権を限定する働きをし、国会単独立法の原則は、実際に立法する際のルールを定めるわけです。

衆議院と参議院

国会は、衆議院と参議院の2つの院からなります。(42条)2つの院を国会に設ける制度を二院制と言います。

この2つの院の違いについては、明治憲法下での制度が参考になると思います。明治憲法下では、参議院は貴族院と呼ばれ、皇族や、江戸時代の大名の子孫からなる華族により構成されていました。一方の衆議院は、一応は選挙により選ばれた議員から構成されていました。

これらの議院は、上院・下院という呼ばれ方もしますが、日本においては衆議院が下院、参議院・貴族院が上院とされています。これは、アメリカの議会が使用していた、二階建ての建物において、数の多い代議院(日本でいう衆議院)が下の階を、数の少ない元老院(日本で言う参議院)が上の階を使っていたことが由来とされています。

下院である衆議院は、国民により選出された議院で構成されるため、民主主義の象徴となる院です。しかし、政府は天皇による君主主義を守るため、皇族や華族からなる院を設置し、下院である衆議院の抑制を図ろうとしたわけです。

参議院に変わった今では、君主主義の考え方こそ撤廃されていますが、衆議院の抑制をするという役割は残っています。

両院の人数と任期

両院の役割が如実に反映されているのは、それぞれの議員の人数と任期です。


まず、衆議院の議員の定数は465人で、対する参議院の議員定数は245人(令和2年現在)となっています。

そして、衆議院の任期は4年で、参議院の任期は6年です。衆議院においては途中で解散することもありますが、参議院は解散がなく、3年ごとに半数を入れ替える形になっています。

衆議院においては、任期を短くし、解散制度を設けることで人を入れ替え、より正確に国民の意思を反映することができるわけです。対して参議院は、長期的な視点で衆議院を抑制するため任期を長くし、少数精鋭に衆議院を監視させるため、人数を少なくしているわけです。

もっとも最近では、アイドルやタレントなど、有名人が「票集め」のために選挙に出馬することも多くなり、参議院の在り方が問われている現状があります。投票への関心を高めるという意味では有効ですが、投票の意味を知らないままにただ票を集めるだけでは意味がないという指摘がなされています。

衆議院の優越

衆議院は国民の意思を反映する存在であるため、いくつかの場面で参議院よりも優先されます。それが衆議院の優越と呼ばれるものです。一つずつ見ていきましょう。

まず①法律案の議決における優越です。

法律案は、基本的に衆参両議院が可決したときに成立します。(59条1項)しかし、これを徹底すると、どちらかの議院が反対し、否決をし続けた場合、いつまでたっても法律を成立させることができません。

そこで、衆議院で可決され、参議院で否決されたときでも、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決されると、法案は成立するとされました。(59条2項)

また、参議院が、法律案を受け取ったものの、60日以内になんら議決を行わない場合には、否決したものとみなし、再可決により法案を成立させることができます。(59条4項)

次に②予算の議決についてです。


予算案についても、両議院で可決される必要がありますが、60条1項により、先に衆議院に提出されることとされています。これを衆議院の先議権と言います。

法律案などを衆議院参議院どちらに先に提出するかは任意となっていますが、予算については先に衆議院に提出させることで、速やかに成立できるようにするわけです。

予算案については、参議院が30日以内に議決しないとき、又は両院協議会で意見が異なるときは、衆議院の議決が国会全体の議決としてみなされます。

③条約の承認についても、60条2項が準用されます。その結果、衆議院の先議権はないものの、参議院が30日以内に議決しないとき、又は両院協議会で意見が異なるときは衆議院の議決が採用されるわけです。

④内閣総理大臣の指名を行う際は、衆議院と参議院が異なる議決を行い、両院協議会を開いても意見が一致しないとき、又は、衆議院が指名した後10日以内に参議院が指名しないときは、衆議院の議決が国会の議決となります。(67条2項)

これらの事項は、速やかに決定しないと、政治が行えず、国が機能しない事態となってしまうことから、衆議院に優越が認められたわけです。

まとめ & スズトリYouTube版

今回は、衆議院と参議院の役割についてみてきました。YouTube版もあるのでどうぞ↓