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【5分対策④】民法を図解|94条の虚偽表示・権利外観法理を解説【図解】

今回は、94条の虚偽表示についてです。

虚偽表示(通謀虚偽表示)とは…差し押さえを逃れるために…

虚偽表示、又は通謀虚偽表示とは、意思表示の表意者とその相手方が通謀して、「意思表示があった」という事実をでっちあげることを言います。「土地を売る」という効果意思がない点では心裡留保と同じですが、相手方と通謀して行ったか否かという点で違います。例としてよく出されるのが、差押えを免れる目的で行われる土地の売買です。

AはXから借金をしており、A所有の甲土地を担保にしていました。そこで、AはBと共謀して、「甲土地を売る」旨の虚偽の意思表示をし、甲土地を売った事実をでっちあげて、甲土地がXから差し押さえられるのを防ごうとした、という事例です。

このような意思表示は、意思主義にのっとって当然に無効となります。相手も嘘だと知っているため、もはや有効とするメリットがないためです。

第三者との関係…意思表示の無効は善意の第三者に対抗できない

94条においても、2項の規定により、意思表示の無効を善意の第三者に対抗できないことになります。あくまで「善意の」第三者であるため、「無過失」である必要はないとされています。相手方と通謀して虚偽の意志表示をした、という点の帰責性は相当大きいと考えられているためです。

問題となるのは、先ほどの例のBから甲土地を売却された第三者のCが、さらにDに甲土地を売却したような場合です。まず、Dのような「転得者」も、第三者にあたるとして94条の2項の適用がなされます。

この場合、第三者のCが悪意であれば、そこでCが保護されなくなるため、Aは意思表示の無効をCに対して対抗できることになります。そうなると、Bに土地の所有権が移っていなかったことになり、無権理者であるBから売却を受けたCも無権利であったことになります。これを、「無権理の法理」と言います。

しかし第三者のCが善意であって、Dが悪意であったときに、94条2項によりDは保護されるのか問題となります。判例は、善意のCが一度挟まったことにより、そこでCの保護が確定していることから、保護されたCから土地を譲り受けたDも保護されるとする「絶対的構成説」をとります。

もっともそうすると、何も事情を知らない者を「藁人形」として一度かませるだけでどのような悪意者も保護されることになってしまいます。そのため、そのような場合は、権利濫用の禁止にあたるとして保護はされないとする説が通説になっています。

権利外観法理…信頼どうりの効果が生じる法理論

94条の2項は、権利外観法理という法理論の一つとされています。これは、権利は存在していないものの、外観上あたかも存在しているかのように見える場合に、その存在を信じて取引関係に入った者は、その信頼を保護され信頼通りの効果が生じるとする法理です。

先ほどの例だと、Bは本当なら甲土地の権利を持っていません。しかしCは、Aが通謀虚偽表示のためにBに預けるなどした、甲土地の権利書類を見て甲土地の購入を決めたわけです。そのような信頼を保護して、ちゃんとCに甲土地が譲り渡されるようにしましょう、とするのが権利外観法理です。

94条2項は、この法理が条文に現れたものだとされています。そのため、虚偽表示以外の事例であっても、権利外観法理が適用されるのが妥当だとされる場合には、94条2項の類推適用という形で第三者の保護が図られます。具体的には、次のような要件を満たせば、類推適用が認められます。①虚偽の外観があること、②真の権利者に帰責性があること、③第三者の信頼があること、の3つです。

まとめ & スズトリYouTube版

今回は、虚偽表示についてみてきました。YouTube版もありますので合わせてどうぞ↓