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【図解】かっこいい法律用語を紹介します【法律解説】

法律を学んでいると、「この用語かっこいい」と感じることが多いものです。そこで今回は、かっこいい法律用語をいくつか紹介します。

八月革命説

これは、憲法の分野における用語です。

現在の日本における憲法である日本国憲法は、明治時代に成立した大日本帝国憲法、別名明治憲法を改正する形で行われました。しかし明治憲法は、天皇が制定した欽定憲法であったため、憲法の改正も天皇の命令で行われることとされていました。そのため、日本国憲法が国民が制定した民定憲法とされていることと矛盾するのではないか、ということが問題となりました。

そこで通説は、敗戦と同時に締結したポツダム宣言により天皇制が崩壊し、一種の革命が起きたものの、それを平穏に行うため、形式的に改正という手続きを踏んだものと説明します。これが八月革命説です。この説により、改正手続きとその効果との矛盾を解消しようとするわけです。

「毒樹の果実」論

これは、刑事訴訟法における用語です。

犯罪の捜査において、被疑者の人権を無視するような違法な捜査が行われた場合、その捜査によって得られた証拠については、裁判において活用することはできません。これを、「違法収集証拠排除法則」といいます。

しかし、違法捜査により収集された証拠であっても、その証拠からさらに派生した証拠については証拠として活用することが認められています。例えば、違法な逮捕をされた後、適法に令状を得て行われた捜査により発見された証拠です。
このような法理論を、「毒樹の果実」論と言います。

相殺適状

これは、民法の分野における用語です。

例えば、AがBに対して100万円を貸していて、BがAに対し100万円を貸しているとします。このような状態だと、AがBに対して100万円を返したとしても、どのみちBから100万円が返ってくることになるため、手間になります。そのため、民法ではこの互いの100万円を「返した扱い」にすることが認められています。これを「相殺する」と言います。

そして相殺をするためには、いくつかの要件を充たす必要があるとされています。なぜなら、Bの借金の返済期限があと1年あるような場合、勝手にAに相殺されると、Bとしては「あと一年支払う必要がなかったのに、なぜいま支払ったことにされなければならないんだ」という不満がでます。このような「支払い期限までは支払わなくてよい」という利益を、「期限の利益」と言います。Aの独断による相殺は、Bの期限の利益を喪失させる結果となってしまうため、要件が設けられたわけです。この相殺に必要な要件を充たした状態を「相殺適状にある」といいます。

親族相盗例

これは、刑法の分野における用語です。

刑法244条は、窃盗罪や詐欺罪など、財産罪の一部の罪について、親族間で行われた場合には罰しないとしています。例えば子が親の財布から金を抜き取った場合などです。このような場合は親族の中で解決すべきであって、法律が干渉すべきでないとされているからです。これを「法は家庭に入らず」と言います。

もっとも、あくまで親族の中で完結する必要があり、子が親の金を盗み、親族以外の誰かにそれを渡した場合には、親族相盗例は適用されません。

河本フォーミュラ

これは、商法の分野における用語です。

会社間などでの取引においては、現金を支払う代わりに手形を振り出すことがよく行われます。例として手形の振出人をA、手形を受け取った相手をBとし、支払額を100万円とします。まずAが、手形の支払い場所となる銀行口座に、100万円を入金します。手形には、Aにとっては支払いの期限となる日にちが記載されています。その日以降にBが銀行に手形を呈示することで、Bは100万円の支払いを受けることができるわけです。

もっとも、手形を受け取ったBは、その手形を別の人に譲渡することができます。その際、手形の裏面にその受取人の名前を書くため、手形を譲渡することを裏書譲渡と言います。裏書譲渡をされたCは、その前の持ち主であるBが、誰からその手形をもらったのかを知ることはできません。そのため、AB間でその手形の効力に影響を及ぼす事情(人的抗弁)があったとしても、それを受取人Cに対して主張することは許されないとされています。これを、「人的抗弁の切断」と言います。これは、手形法17条に規定されています。

例外として、手形の振出人である債務者Aを害することを知って手形を取得したときは、人的抗弁は切断されず、受取人に対して主張することができます。この「害することを知って」の意味について問題となるところ、学説において有力とされているのが河本フォーミュラです。この説は、人的抗弁の存在を知っていただけでなく、支払い期日において、手形債務者Aが相手方Bに対してその抗弁を主張して、手形の支払いを拒むことが確実であることの認識をしていたことを要するとします。これにより、手形を受け取った者の保護範囲を拡大し、手形の取引の安全を図るという訳です。

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