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【5分対策⑧】民法上の『家族』と失踪宣告|親族の呼び方【図解・法律解説】

皆さんは、「家族」や「親戚」という言葉を使う際、具体的にどのような範囲の人たちまでを含めて使っていますか。民法上では、家族関係は「親族」という言葉で表されています。また、親族と関係して、失踪宣告や認定死亡という制度があります。今回は、そんな親族にまつわる話です。

親族の範囲

親族の範囲は、このような図で表すことができます。これだけだとよくわからないと思うので、解説していきます。

親族の範囲は、725条により、①6親等内の血族、②配偶者、③3親等内の姻族だとされています。


分かりやすいのは、②の配偶者ですね。本人をAさんという男性だとすると、その妻が配偶者にあたります。そして「血族」とは、親子や兄弟姉妹など、血のつながりのある者のことを言います。

図のうち、左上にアラビア数字が記されているのが血族を指します。それに対し「姻族」は、配偶者の血族を指します。図で、漢数字が書かれているのが姻族です。

そして、血族のうち、血統が直下する関係、つまり父母と子や祖父母と子などの関係がある者を「直系」と言います。これに対して直下しない関係、つまりおじ、おばや甥、姪などの、関係にある者を「傍系」といいます。図の真ん中が直系、両サイドが傍系となります。

また、本人より前の世代の者を「尊属」、後の世代の者を「卑属」と言います。

親等

図中のそれぞれの間柄の名前の左上に数字は、それぞれの間柄が、本人から見て何親等に属するかを示したものです。アラビア数字が血族の間の親等を、漢数字が姻族の間の親等を示しています。

親等は、親族関係がどれくらい近いかを示したもので、一つの親子関係を挟むたびに親等が上がっていきます。兄弟などで枝分かれするときは、その親に戻り、枝分かれ先にいきます。


例えば、祖父母の兄弟が何親等か数えるときは、父母、祖父母、曾祖父母、祖父母の兄弟、という風に数えるので、祖父母の兄弟は4親等にあたるわけです。

なお、本人の配偶者は、本人と同じだと考えられるため、親等はありません。また、自分の3親等内の直系の子孫の配偶者も「姻族」として、本人の親族に含まれますが、その配偶者の子は、「直系子孫の新たな親族関係における姻族」と捉えられるため、「本人の」親族には入りません。

叔父と伯父

次に、それぞれの名前についてみていきましょう。本人の子、孫、まではよく見ると思いますが、孫以下は、そうそん、げんそん、らいそん、こんそんと読みます。曽孫と玄孫は、一般に「ひまご」「やしゃご」と呼ばれるものです。親族の範囲に含まれないそれより下は、仍孫(じょうそん)、雲孫(うんそん)と続くようです。

逆に本人の尊属である、父母、祖父母の上は、それぞれ、そうそふぼ、こうそふぼ、になります。しかし、子孫とは違い、その上の呼び方はないようで、「5世の祖」や「5代前の祖」などど呼ばれるようです。そして、本人の親の兄弟、おじやおばは、はくしゅく父母と読みます。「伯」が年上のきょうだい、「叔」が年下のきょうだいを指します。

人の死亡と相続

親族と関連して、人が死亡した際の特別ルールについてみていきます。人が死亡した場合、その時点でその人の財産の相続が始まります。

例えば、Aさんが「旅に出る」と家をでたっきり、数十年間帰ってこないとします。その妻Bさんは、Aさんが権利を持っている土地を処分して、老後のための資金にしたいと考えています。しかし、Aさんは生きている可能性もあるため、勝手に処分することはできません。そこでAさんを法律上、死亡したと言う扱いにして、相続による財産の整理を行うのが、失踪宣告と認定死亡という制度です。

失踪宣告と認定死亡

失踪宣告は、①不在者の生死が不明で、②一定期間生死不明の状態が続き、③利害関係人の請求、および④公示催告、があれば成立します。


②の一定期間は、戦争・船の沈没などの「危難」が去った後1年の経過で認められる「特別失踪」と、最後に生存が確認されたときから7年経過することで認められる「普通失踪」に分かれます。④の公示催告は、「Aさん生きていたら届け出てください」というような内容の文面を裁判所に掲示することです。

失踪宣告が認められると、不在者の「従来の住所」での法律関係について、不在者が死亡したと「擬制」されます。あくまで従来の住所であるため、Aさんが別の場所で生活をしていたとしても影響はありません。そして「擬制」とは、たとえAさんが「生きていた」とわかった場合でも、失踪宣告が覆らないという意味です。そのため失踪宣告がなされると、Aさんはもう従来の住所での財産について取り戻すことはできません。公示催告がなされた段階で、届け出をしておくべきであったためです。

認定死亡は、火災や水難等により死体の確認ができないときに、死亡している可能性が極めて高いことから本人を死亡していると「推定」することを言います。「推定」であるため、死亡していない事実が明らかになった場合には、その推定が覆り、生存していた扱いになります。

まとめ & スズトリYouTube版

今回は、親族の範囲について、そして失踪宣告と認定死亡についてみてきました。YouTube版もあるのでどうぞ↓