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【憲法を図解】高校生向け解説 #02|権力分立とは?統治について【わかりやすく】

今回の動画では、権力分立や統治の基本的な仕組みについてみていきます。

権力分立

権力分立とは、国の統治に関わる「作用」を、立法・行政・司法というように区別し、それぞれを異なる機関に担当させるように「分離」し、相互に「抑制と均衡」を保たせることを言います。

自由主義がとられる近代憲法においては、権力分立と前回解説した国民主権の原理は重要な柱となっています。なぜこのような仕組みがとられるのでしょう。

前回解説した絶対王政のように、人が一国を支配できる権限を持つと、どうしても暴走してしまいがちです。ましてやすべての権限を一つの機関に与えてしまうと、何をしても許されることになってしまいます。そこで、国の統治に関わる作用について、別々の機関に担当させることで権限の「分離」を図る訳です。

しかし、分離したところでそれぞれの機関が互いに干渉しえないとなると、どれかの機関が暴走するおそれがあります。
そこで、それぞれの機関が互いににらみを利かせ、暴走しないように「抑制」し、それぞれの機関の力の「均衡」を保とうとした訳です。抑制と均衡は、チェックアンドバランスとも呼ばれています。

日本国憲法における権力分立

日本における権力分立は、立法・行政・司法の3つの作用に分けます。そして、それぞれの作用を担当する機関が、国会・内閣・裁判所となる訳です。では、具体的にどのように抑制と均衡を保っているのでしょうか。ここでは、各機関が他の機関からなされる抑制について見ていきたいと思います。

国会について

まず、立法を行う国会は、衆議院と参議院からなりますが、このうちの衆議院について、内閣が解散の権限を持ちます。(69条)また、内閣は53条により国会の召集権限をもちます。そのため国会は、召集と解散の両方の面で内閣により抑制されるわけです。

そして国会は、裁判所の違憲審査に服し、国会がなした立法が憲法に違反していないかの審査を受けることになります。
立法は、国民の権利を制約することができるため、厳格なチェックが要求されるわけです。

内閣について

行政を行う内閣は、国会が行った立法の内容を、具体的に執行する執行機関としての役割を持ちますが、内閣は国会の信任の元に成立します。つまり、内閣は、国会に信用されているからこそ行政の執行ができ、国会は、内閣を信用しているからこそ立法した内容の実現を任すことができるわけです。このように、内閣が、国会の信用の元に存在するとする制度を、議院内閣制と言います。

議院内閣制は、内閣総理大臣の指名を国会が行う旨を規定した67条や、衆議院の内閣不信任決議について規定した69条に現れています。国会からはこのような抑制がなされるわけです。

そして裁判所からは、国会と同様、内閣がなした命令や処分などの違憲審査がなされます。(81条)執行についても無制限に許されるわけではなく、憲法の規定に服するわけです。

裁判所について

国会は、裁判所の裁判官をやめさせることができる、弾劾裁判を行うことができます。(64条)これにより、裁判官は、解任について国会の抑制を受けます。

また内閣は、6条により最高裁判所の長官を「指名」し、長官以外の裁判官については、79条により内閣が「任命」します。なお、最高裁の長官を「任命」するのは、天皇の権限となります。(6条2項)

最高裁以外の下級裁判所については、最高裁が「指名」し、内閣が「任命」することになります。(80条)よって、裁判官は、指名及び任命について内閣の抑制を受けるわけです。

国民主権とのかかわり

これらの3つの機関は相互に抑制しあうだけでなく、国民による抑制も受けます。

まず、国民は選挙権に基づき、国会議員の選挙を行います。(43条2項)国民が選んだ代表者であるからこそ、間接的に国民の意思が介在しているとされ、国民の権利を制約する立法ができるわけです。

また、内閣に対しては、世論により影響を与えます。デモを行い退陣を要求する行為がわかりやすいと思います。それだけでなく国会が不信任決議をすることで、間接的に国民が内閣をやめさせることにもなっています。

そして、裁判所に対しては、最高裁判所の裁判官の国民審査が認められています。(79条2項)最高裁判所は、下級裁判所の裁判官の指名ができるため、下級裁判所に対しても間接的に国民の意思を及ぼすことができるわけです。

まとめ & スズトリYouTube版

今回は、権力分立と国民の関わりについてみてきました。YouTube版もあるのでどうぞ↓