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【5分対策②】共犯・共同正犯・教唆犯・幇助犯|刑法をわかりやすく解説【図解】

今回は刑法における共犯についてみていきたいと思います。

共犯とは

まず刑法においては、原則として一人で犯罪を行うことが想定されています。一人で犯罪を行う場合を単独正犯と言います。正犯とは、自ら犯罪行為を行っている者のことを言います。

そして共犯とは、二人以上で犯罪を実行することをいいます。共犯と言えば2人が一緒に強盗をするなど、複数人で犯罪行為を行うのをイメージしがちですが、役割分担をしていたり、片方が命令しているだけの場合もあり、そう単純な話ではありません。

そのため刑法では、自ら犯罪行為を行うか、他人の犯罪行為を助けるのみかにより、成立する共犯関係が異なります。まずは、共犯の種類についてみていきましょう。

共犯の種類

まず共犯は、広義の共犯と狭義の共犯に分かれます。広義の共犯は、自ら犯罪行為を行う場合で、実行共同正犯と共謀共同正犯の二つがあります。狭義の共犯は、犯罪行為を行う共犯者をそそのかしたり、犯罪行為を助けたりすることをいい、教唆犯・幇助犯の二つがあります。

例としてAとBの二人が犯罪を行うとします。

実行共同正犯の場合AとB両方が犯罪行為を行いますが、共謀共同正犯は、Bのみが犯罪行為を行い、Aは単にBに命令するだけ、という場合です。

教唆犯はAがBをそそのかして犯罪行為をさせる場合で、幇助犯はAがBに道具を与えるなどして犯罪行為を助ける場合です。

罪の重さは、共同正犯と教唆犯が等しく、幇助犯がこれらより軽くなります。


共同正犯にできない場合でも、教唆犯にできれば共同正犯と同じような刑を科すことができますが、自ら犯罪行為を行っているとはいえず、幇助犯に留まる場合もあります。そのような場合に、共謀共同正犯が成立させられないか問題となります。まずは、共同正犯について詳しく見ていきます。

共同正犯

共同正犯は、2人以上が「共同」して「正犯」として犯罪を行う場合で、刑法60条に規定があります。

実行共同正犯は、両者が正犯として犯罪を行うことを言いますが、例えばAが見張りをして、その間にBが窃盗行為を行うなどの場合にも成立します。この場合Aは実際に窃盗行為を行っているわけではないのですが、Aにも窃盗罪の責任を負わせることができます。

このように犯罪の一部に関与していれば、その犯罪の全ての責任を負わせられる、とする原則を、「一部実行全部責任の原則」と言います。

このような処罰が可能とされる根拠は、行為者の間に、お互いの行為を利用し、自らの行為を補充する関係がみられるためです。このような関係を、「相互利用補充関係」と言います。

共謀共同正犯の場合、実際に犯罪行為をしていない者もいますが、「共謀」をすることで相互利用補充関係があるとみられるため、共同正犯として処罰が可能になる訳です。しかし実際にはそれだけで共同正犯が成立するわけではなく、幇助犯との境を設けるための要件が必要とされています。

幇助犯と共謀共同正犯

例えば甲と乙がXを殺害する計画を立て、甲が拳銃等の道具を用意し、乙がそれを用いてXを殺害したとします。このような場合、拳銃を所持していた点は別として、確かに甲はXの殺害について直接手出しをしていないため、幇助犯が成立するのみではないかと思われます。

しかし、乙がXの殺害を実行できたのは、甲が拳銃を用意してくれたからであり、甲が犯罪の実行において果たした役割は非常に重要なものだと言えます。

そのため、判例ではこのような場合、①共同実行の意思があり、②共謀があり、③共謀に基づく実行行為があれば、共謀共同正犯が成立するとされました。

①は共謀者が行う犯罪行為を、自己の犯罪として実行する意思をいい、正犯意思ともよばれるものです。自らの犯罪として他人に実行させるからこそ、その犯罪の責任をその共謀者に負わせることができるわけです。

②は、「特定の犯罪」を行うため相談や協議を行うことを言います。「特定の犯罪」であるため、共謀者と実行者との間で「具体的にどのようなことを行うか」という共通の認識を持っている必要があります。そのため、原則として明示的に合意がなされる必要がありますが、共謀者と実行者の間の関係を考慮し、特定の犯罪を行うことにつき黙示の合意があったとみることができる場合もあります。

なお、共謀共同正犯が成立するためには、共謀の中で実行者と同じ程度の重要な役割を果たしていることが必要とされます。具体的には、先ほどの例のように武器を自ら用意している場合や、犯行を行う現場の見取り図を提供しているような場合です。

①で、「自らの犯罪として」実行をさせることを要求し、②で、「重要な役割」を果たしていることを要求するからこそ、幇助犯ではなく、共同正犯として処罰が可能となる訳です。そして③は、共謀の内容通りに実行者が犯罪行為をすることを言います。共謀しても、実行者が全く違う内容の犯罪を犯してしまっては、もはやその犯罪の責任を負わせることができないわけです。

まとめ & スズトリYouTube版

今回は、共同正犯をはじめとした共犯関係についてみてきました。共犯関係は、刑法の問題を解く際は必ず出てくる重要なものです。YouTube版もあるのでどうぞ↓