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【法律解説】著作権の解説と「スマホで本が読める」電子図書館の問題点について説明【マンガ】

こんにちは、ミノです。皆さんは、普段図書館を利用しますか。私はいつも図書館で勉強しています。

図書館といえば、貸し出しされている本がスマートフォンなどの端末から閲覧できるように、法の改正が行われる動きがあります。この法改正に関わってくるのが、著作権法です。そこで今回は、まず著作権法について解説し、電子図書館がどのような問題をはらんでいるかを見ていきたいと思います。

著作権法とは…著作者に与えられる権利

そもそも著作権法とは、小説や音楽、映画などの著作物を制作した著作者に与えられる、著作権という権利について規定した法です。具体的には、①どのような物が著作物にあたるのか、②だれが著作者になるのか、③著作者にはどのような権利が与えられるのか、④権利はどのように活用できるのか、⑤どのような場合に権利侵害となるか、と、大きく分けて5つのことに関して規定されています。

今回は電子図書館の問題にかかわりがある③について見ていきたいと思います。

著作者の権利…支分権から成る。著作権+人格権

著作権法は、著作物を創作した著作者に対し、その創作への見返りという形で、創作した著作物の利用を独り占めする権利を与えます。この権利を、著作権と言います。

著作権は、当該著作物の利用方法、つまり著作者に対する権利侵害の類型ごとに、支分権という権利に分かれます。例えば、ある映画を劇場で公開する場合は、上映権という権利が問題となり、その映画のDVDをコピーする場合は、複製権という権利が問題となります。これらの細かい支分権全てが著作者に集約され、著作権という著作物を独占できる権利を構成する訳です。

また、著作者の権利には、著作者人格権という権利も含まれます。

著作者の権利のうち、著作権については、著作物に関する財産的な権利であるため、他者に譲り渡すことができます。譲り渡す際は、全部を譲り渡すこともできますが、上映権や複製権のみを譲渡する、というように一部の譲渡もできます。しかし著作者人格権は、著作者本人にのみ帰属する権利であるため、他者に譲り渡すことはできません。

電子図書館の問題…一番の問題は法律ではなくその後の影響

では、電子図書館が実現した場合における問題について考えていきましょう。まず図書館の本は、図書館の棚においておく分には当然著作者の許可を得ているため、問題ありません。しかし、その本をスキャンして、電子データにする際には、21条の複製権の問題となります。その際には著作権法31条に基づき、全著作物の半分まで複製することしかできません。

そして、そのデータを個人の端末に送信する際には、23条の公衆送信権の問題となります。これらの権利については著作権者の許可を得れば済むため大して問題となりません。問題となるのは、送信する段階ではなく、その後の影響です。

図書館はそもそも無料で本を貸し出しできる場所です。これをスマートフォンでできるとなると、有償の電子書籍サービスのメリットが完全に失われてしまいます。また、本1冊複製するだけで何人にも貸出ができるとなると、著作権者への見返りが一切ないのはもちろん、出版社も本が売れなくなってしまうなどの影響がでることが考えられます。

確かに、実際に図書館に出向かなくても本が借りられるというのは、非常に大きなメリットであると言えます。また、今では市場に出回っていない絶版となった本などはもう図書館で借りるなどしかないため、そういった面でも有用な制度になると思います。しかし、便利になる反面、それによって影響を受ける恐れがあることも確かだと言えます。これからどのように法改正が進むか注目に値するでしょう。

まとめ & スズトリYouTube版

今回は、図書館の電子利用の話から著作権法について解説していきました。今回は以上です。ありがとうございました。