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【法律解説】まとめるだけで名誉棄損になる?ディープフェイクの違法性について

皆さんは、ディープフェイクというものを知っていますか。最近、このディープフェイクをまとめサイトに掲載したとして、会社員3人が逮捕されました。他人の発言を編集し、まとめただけなのに、どうして罪になるのでしょうか。
今回はそんなディープフェイクに関する話です。

こんにちは、ミノです。皆さんは、普段まとめサイトを見ますか。私は毎日見ています。

そもそもまとめサイトとは、特定のテーマについてネット等から情報を集めて、まとめたサイトを言います。現在多く目にするまとめサイトは、ネット掲示板のスレッドをコピーして編集したもので、まとめブログとも言われるものです。この動画ではこのまとめブログとディープフェイクの問題についてみていきます。

ディープフェイクとは…著作権の侵害と名誉侵害

ディープフェイクとは、人工知能の顔認識機能を使って、ある人物の顔に別の人物の顔を合成することで、偽物の動画を作ることを言います。例えばAさんが歩いている動画にBさんの顔を合成すると、あたかもBさんが歩いている動画かのように見えてしまうということです。

この技術を悪用して、芸能人の顔を、別の人物が移るアダルト動画に合成し、その芸能人がアダルト動画に出演しているかのような動画を作る、といった事態が発生してしまっています。このようなありもしない動画を作る行為は、そのアダルト動画の著作権等を侵害するのはもちろん、その芸能人に対する名誉侵害にもなります。

実際、2020年11月19日、ディープフェイクをまとめサイトに掲載したサイト運営者3人が逮捕されたとの報道がなされました。しかしこのディープフェイク動画を掲示板に投稿したのはあくまで掲示板の利用者で、サイトの運営者はあくまでその動画が投稿されたスレッドをまとめただけということになります。それなのに罪に問われるのはおかしいのではないかと思う人もいると思いますが、実はこの事件の先例となる裁判例が存在します。

まとめ行為の違法性…独立した名誉毀損表現。

とあるスレッドにて、韓国人を差別する発言がなされます。このスレッドをまとめたサイトの記事の中に当該発言があったことを理由に、ある在日朝鮮人の女性が韓国人の名誉が傷つけられたとして損害賠償を求めて提訴しました。

この裁判でまとめサイト側は、まとめの記事が複数の第三者の発言で構成されていることを理由に、あくまで名誉棄損となっているのは当該発言のみだとして、サイト全体は名誉棄損とはならないと主張しました。

しかし裁判所はこの主張を認めず、「名誉を棄損する発言をまとめる行為」それ自体が、発言とは独立して名誉棄損表現になっているとして、損害賠償の請求を認めました。この認定がなされた理由としては、ブログに掲載する上で当該発言の部分の色を変えたりして、より強調ができるということ。そして、掲示板に投稿したのみでは獲得できない新たな読者を獲得していること、の2つが理由としてあります。

まとめサイトとディープフェイク…名誉毀損をする表現になっている

この事件での理論を、ディープフェイクをまとめたサイトの事件に用いてみると、名誉棄損となる動画をまとめたサイト自体が、全体として名誉棄損をする表現となっている、という訳です。差別発言の事例と同様、まとめることでその動画をより強調することができ、新たな読者を獲得できることが理由となっていると思われます。他人の発言をまとめるだけとはいえ、そのサイトが人気であればあるほど大きな影響力を持つことになります。

まとめ & スズトリYouTube版

今回、まとめサイトの運営者が逮捕されたことで、ディープフェイクにまつわる先例となり、同じような事件の再発防止になると思います。